「このまま今の会社にいて、大丈夫なんだろうか」
転職する前の私は、ずっとそう考えていました。日系金融大手に新卒で入って4年半。仕事は、社内システムから数字を抜き出して、Excelで集計して、月次の報告資料を作ること。
そんな私が27歳で転職し、外資メーカーの管理部門に移りました。年収は約500万円から800万円に。この記事は、20代で転職に踏み切った私の体験談です。
うまくいった話だけではありません。1回目の転職活動は書類で全滅しましたし、資格の勉強に半年を使う遠回りもしました。そのうえで、20代の転職で実際に見られていたことを、自分の経験から書きます。
先に結論:20代で転職して、よかった
- 27歳で異業種へ転職。年収は約500万→800万、残業は月40時間→ほぼゼロに
- 1回目は書類で全滅。2回目は同じ経歴のまま、書類5社全通過・内定2社
- 選考で見られていたのは①熱意・仕事への姿勢 ②ポテンシャル ③一定のスキル
- 効いたのは資格ではなく「数字で人を動かした経験」だった
- エージェントは5社使い、内定まで運んでくれたのは1社だけ
20代の転職、こんな悩みを抱えていませんか?
「20代 転職」で調べると、同じような悩みがたくさん出てきます。
- 今の会社にいて、社外で通用するスキルが身につくのか不安
- 転職したいけど、アピールできるスキルや実績がない
- 転職して、今より悪くなったらどうしよう
- 20代後半になり、「ポテンシャル採用」の時期を逃しそうで焦る
どれも、当時の私が抱えていた悩みそのものです。
社長賞の同期を見て、ぞっとした日
入社して最初の1〜2年は、仕事が面白かったんです。データに直接触れるので、数字という事実をもとに上司と議論できる。数年たつころには、そういう働き方ができるようになっていました。
空気が変わったのは、営業で社長賞をとった同期が、ジョブローテーションで私の部署に来たときです。
彼は、Excelの操作もままならない。データの読み方もわからない。報告用の資料は、上司から直されてばかりでした。
そして、ぞっとしました。逆もあり得る。次のローテーションで私が営業に行けば、私も彼と同じ状態になるんじゃないか。
スキルを書き出して、もう一度ぞっとした
不安になって、自分のスキルを棚卸ししてみました。
| 当時のスキル | 社外で使える? |
|---|---|
| MOS(Excel) | ○ 資格あり |
| TOEIC 800 | △ 会話の経験はほとんどなし |
| 社内システムでのデータ抽出 | × 社外では使えない |
| 社内会議の資料づくり | × 社外では使えない |
並べてみて、もう一度ぞっとしました。社外でも通じるスキルが、驚くほど少ない。「20代でスキルがない」と悩む気持ちは、痛いほどわかります。
1回目の転職活動は、書類で全滅した
最初に相談したのは、ITに強い転職エージェントでした。言われたのは、「IT業界が求めているのは、Pythonなどが書ける即戦力です」。ExcelやTableauは、まったく評価されませんでした。
それでもITコンサルとサイバーセキュリティの会社、2社に応募しました。結果は、どちらも書類で不採用。面接にすら進めませんでした。
「資格があれば戦える」と、半年を溶かした
落ちた理由を「スキルが足りないから」だと考えた私は、SQLの資格(Oracle Master Silver)の勉強を始めました。取れるまでに、半年かかりました。
でも、この資格は転職ではほとんど役に立ちませんでした。今なら理由がわかります。資格は知識の証明書であって、業務経験の証明書ではない。採用する側が知りたいのは「資格がある人か」ではなく、「実際に使って成果を出せる人か」だったんです。
同じように「まず資格を取ってから」と考えている20代の方には、少し立ち止まってほしいと思います。
それでも、27歳で転職して本当によかった
遠回りはしましたが、2回目の転職活動で外資メーカーから内定をもらい、27歳で転職しました。いま振り返って、はっきり言えます。転職して、よかった。
| 転職前(日系金融) | 転職後(外資メーカー) | |
|---|---|---|
| 年収 | 約500万円 | 約800万円(ベース) |
| 残業 | 月40時間ほど | ほぼゼロ |
| 働き方 | 週5出社・9:00〜20:00 | 週3出社・9:00〜17:15 |
| 仕事 | KPI管理・月次の集計と報告 | 価格改定のためのデータ分析 |
転職してよかったと思うことは、大きく3つあります。
よかったこと① 年収が上がった
年収は約500万円から、ベースで約800万円になりました。27歳で、300万円のアップです。同じ会社にいたら、この金額に届くまでには、かなりの年数がかかったと思います。2年目は会社の業績が良く、28歳で1千万(インセンティブ込)に到達しました。
よかったこと② 残業が減った
前の会社では週5出社で、9時から20時まで働くのが当たり前でした。残業は月40時間ほど。今は週3出社で、9時から17時15分まで。残業はほぼゼロです。平日の夜に、自分の時間があることに最初は戸惑ったくらいです。
よかったこと③ どの会社でも使える「価格改定」の仕事を任された
私にとって一番大きかったのは、これです。今の担当は、価格改定のためのデータ分析。いくらに値上げするか、どの商品から見直すかを、数字をもとに考える仕事です。
価格を決める仕事は、業界を問わずどの会社にもあります。前の会社で「社内でしか通用しない人になっていないか」と不安だった私が、どこに行っても通用する仕事を担当できている。これが、転職して一番安心したことでした。
もちろん、いいことばかりではありません。入社して半年で組織再編があり、同僚数人がクビになりました。。そのあたりは外資転職は「地獄」なのか?を書いた記事に正直にまとめました。
それでも、社内でしか通用しない不安を抱えたまま30代を迎えるより、ずっとよかったと思っています。
20代の私が、選考で見られていた3つのこと
1回目は書類で全滅。2回目は書類5社全通過。経歴も資格も、中身はまったく同じです。何が違ったのかを考えると、20代の選考で見られていたポイントが見えてきました。
20代後半の転職で見られること
仕事への姿勢+ポテンシャル+実務で身につけたスキルと成果
課題解決力など、業界が変わっても使えるスキル(ポータブルスキル)
20代は、熱意や仕事に対する姿勢も評価される年代です。ポテンシャルも見てもらえます。ただし後半になるほど、一定のスキルも求められる。27歳だった私は、この3つをまとめて見られていたと感じています。
① 熱意・仕事に対する姿勢──主体性
選考で一番話したのは、ある月に売上が急に伸びたときの話です。
経営層から「なぜ伸びたのか説明してほしい」と言われ、営業部にヒアリングしました。返ってきた答えは、「みんな頑張ったからじゃないですかね」。
ふつうなら「現場が頑張った結果です」と上に報告して終わりです。でも、それでは翌月以降に同じ結果を再現できません。私はそこで、もう一歩踏み込むことにしました。(詳細は③で語ります)
20代の選考で見られる「主体性」や「向上心」は、こういう誰にも言われていない場面での動き方に出るのだと思います。「やる気があります」と言うより、踏み込んだ経験を1つ具体的に話せるほうが、ずっと伝わります。
② ポテンシャル── 再現性
私が内定をもらったのは、金融とはまったく違うメーカーです。業界の知識はゼロでした。
それでも内定を貰えたのは、20代の柔軟さや、環境が変わっても同じように成果を出せそうと思ってもらえたからだと思います。私が意識したのは、ポテンシャルを「若いので何でもやります」ではなく、「前の職場でこう動けたので、新しい職場でも同じように動けます」と、経験とセットで話すことでした。
③ 一定のスキル──評価されたのは「数字で人を動かした経験」
売上の話には続きがあります。選考では、この経験を次の5ステップで話しました。
| ステップ | やったこと |
|---|---|
| ① 課題発見 | 売上が伸びた理由を、誰も説明できなかった |
| ② 可視化 | 営業の若手の「最近、店頭で外国人のお客さんが多い気がします」という一言から、訪日外国人数と自社の売上を分析。 |
| ③ 打ち手提案 | 訪日外国人は増え続けているのに、自社も競合も手を打っていない。「先行者として獲りに行くなら今」と外国人向け施策を提案 |
| ④ 部署間調整 | マーケ・営業・企画・システムに協力を依頼。「仕事が増える」と嫌がられたが、全員が同じ数字を見ることで話が進んだ |
| ⑤ 結果 | 想定を上回る成果が出て、翌期以降も続く施策になった |
口で「やりましょう」と言うのと、数字を見せながら「この相関を見てください」と言うのとでは、提案の重みがまったく違いました。数字が、部署をまたぐ共通言語になったんです。
データ分析という手段そのものは転職ではまったく評価されませんでした。でも、その分析結果を使って何を動かしたかをストーリーで話すと、業界が変わっても通じるスキルとして見てもらえました。書類でも面接でも、このストーリーを一貫して話し、予想以上に強い武器になりました。
変えたのは、書き方と伝え方だけ。それで書類は5社すべて通りました。これには、私自身が一番びっくりしました。。
お世話になったエージェントと、私の転職体験談
2書類で全落ちした後に、転職エージェントに5社登録しました。正直に言うと、当たり外れの差がかなりありました。
| 評価 | 社数 | 実際にあったこと |
|---|---|---|
| 大外れ | 2社 | 職務経歴書を読んですらいない。誤字が残ったままの書類に「いいですね、これで進めましょう」 |
| はずれ | 2社 | 求人メールの数だけ多い。なぜ私に向いているのか、説明が一行もない |
| 当たり | 1社 | JACリクルートメント。私の経験を言葉にするところから一緒にやってくれた |
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面談で、自分の経験がはじめて言葉になった
内定まで運んでくれたのは、JACリクルートメントだけでした。最初の面談で驚いたのは、担当の方が希望の求人をほとんど聞かず、私の仕事の中身ばかり質問してきたことです。
- 「その数字は、誰が見るんですか」
- 「差分が出たとき、次に何をするんですか」
- 「それは決まった手順があるんですか、自分で考えているんですか」
答えていくと、担当の方が私の言葉を拾って、並べ替えてくれました。
- 一次データに直接アクセスし、目的に合った数字を抽出できる
- 計画と実績を比べ、KPIを継続的にモニタリングできる
- 公開データと自社の実績を突き合わせ、差異を説明できる
- インサイトを経営層・管理職向けのレポートにまとめられる
- 営業部門とすり合わせながら、改善アクションまで提案できる
全部、自分で言った言葉です。並べ替えられて初めて、「ああ、自分はこれをやっていたのか」とわかりました。当たり前すぎて、自分では価値に気づいていなかったんです。
書き直した職務経歴書を見せたとき、「これはいいですね」と言ってもらえました。あのとき、少し泣きそうになりました。
自分では思いつかなかった「外資メーカー」という提案
IT業界ばかり見ていた私に、担当の方はこう言いました。
「あなたの強みはデータ分析ツールを使えることではなく、数字で人を動かしたところにある。それが一番評価されるのは、メーカーなどの事業会社です」
数字を使って人を動かすことが私のスキルであると定義できたので、この提案は納得度が高かったです。
面接対策は「話し方」まで踏み込んでくれた
一番効いたのは、面接対策です。どの質問で、どのエピソードを出すか。私の経験をどこから話し始めるか。聞かれていないことを、どこまで足すか。
用意した話をそのまま話すのではなく、相手の質問から、自分の話に持っていくやり方を教わりました。書類を直してもらうだけでは、絶対に身につかなかった部分です。結果、最終的に2社から内定をもらえました。次に転職するときも、JACにお願いしたいと思っています。
なお、JACはミドル・ハイクラス向けのエージェントです。社会人経験が浅い20代前半の方より、数年の実務経験があって、年収アップや異業種・外資を考えている20代後半の方に向いていると思います。
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書類で落ちた1回目から、5社全通過までに何を変えたのか。もっと詳しく知りたい方は、私の転職体験談(全編)をどうぞ。
20代の転職でよくある質問(私の場合)
Q. スキルがない20代でも転職できますか?
私も「スキルがない」と思っていました。でも実際は、スキルがなかったのではなく、言葉にできていなかっただけでした。毎日やっている仕事の中に、社外でも通用するものが埋もれていることは多いと思います。
Q. 転職の前に、資格を取ったほうがいいですか?
私は半年かけてSQLの資格を取りましたが、選考ではほとんど効きませんでした。資格を取る前に、今の仕事で何を動かしたかを整理するほうが先だと思います。
Q. 転職エージェントは何社くらい使うべきですか?
私は5社に登録して、内定まで運んでくれたのは1社でした。担当者によって質がまったく違うので、いくつか話してみて、経験を深掘りしてくれる担当者を選ぶのがおすすめです。
まとめ:20代の転職は、不安でも動く価値がある
集計担当だったころの私は、「スキルがない」「動くのが怖い」と悩んでいました。1回目は書類で全滅し、資格に半年を使う遠回りもしました。
それでも27歳で転職して、年収も働き方も、自分の仕事への自信も変わりました。この経験から伝えたいのは、次の2つです。
- 20代の選考では、熱意・仕事への姿勢、ポテンシャル、一定のスキルが見られる
- スキルは資格やツールではなく、「その経験で何を動かしたか」で伝わる
あのころの私と同じ不安を抱えている方の、一歩目の参考になればうれしいです。
NEXT STEP
「外資、本気で受けてみるか」と思ったら
ただのExcel集計担当だった私が、27歳で外資メーカーへ転職し、年収500万→800万に。
5社のエージェントを使って、内定まで運んでくれたのは1社だけでした。
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