私は27歳のとき、外資メーカーの年収交渉で初回オファー700万を800万まで引き上げました。前職は日系金融大手で年収500万、つまり最終的に300万円アップで着地した形です。
「外資の年収交渉」と聞くと、英語でゴリゴリ押し合うイメージを持つ人も多いと思います。でも実際は違いました。私が使ったのは、たった3つのフラットな言葉です。声を荒げることも、駆け引きをすることもありません。事実を並べて、数字で示しただけ。
この記事では、その3つの言葉と、それを言える状態を作るためにやっていた準備を、当時の臨場感そのままで公開します。
結論:私が外資の年収交渉で使った3つの言葉
先に結論から書きます。私が700→800万を引き出すために実際に使った3つの言葉は、これです。
- 「実は別のオファーもいただいていまして」——他社オファーの事実を切り出す
- 「年収換算するとそちらが上回ります」——数字で比較する
- 「800万であれば即決できます」——ベース提示+即決の意思を伝える
順番に解説します。ただその前に、外資の年収交渉が「どのタイミングで・誰と」発生するかを共有させてください。これを知らないと、3つの言葉を使うチャンスを逃します。
そもそも、外資の年収はいつ決まるのか
私が転職した外資メーカーの場合、選考は2回でした。
- 1次面接:人事担当者との英語面接(この場で年収は伝え済み)
- 2次面接(最終):直属上司とのジョブ面接
そして、年収交渉のチャンスは最終面接の後、人事担当者から内定を伝えられる場で発生します。ここで年収が提示され、サインするかどうか面談を行います。
つまり交渉相手は、上司や経営層ではなく人事担当者。これは外資転職する人にとって意外と重要な情報です。直属上司との最終面接では「あなたの仕事ぶり」が見られますが、お金の話をするのは人事です。場面が完全に分かれている。
私の場合、1次面接後の打診で初回オファーが「700万」と提示されました。前職500万からすれば200万円アップです。普通ならここで「ありがとうございます」で終わります。でも私は他社オファーを並走させていたので、ここから100万を積み増す交渉に入りました。
言葉①「実は別のオファーもいただいていまして」
1つ目の言葉は、他社オファーの事実を切り出す一言です。
私には、外資メーカーと並行して進めていたもう1社の案件がありました。事業会社のインドオフショアプロジェクト窓口で、フリーランス契約・月単価95万円。エンジニア側とビジネスサイドの意思疎通が悪く進捗低迷していたプロジェクトに、ハブとして入る役割でした。27歳の自分にとっては破格の数字です。
このオファーをどう切り出すか。
なので私は、誇張せず、ただ事実をフラットに伝えました。具体的には人事担当からの打診の中で、希望年収を聞かれた流れでこう返しました。
「実は、別のオファーもいただいていまして。フリーランスでの契約なんですが、月95万円の案件です。御社が第一志望なのは変わらないんですが、もう一方の数字も無視できなくて、相談させていただきたく」
ポイントは2つあります。
- 「御社が第一志望」は最初に明言する。ここを言わずに他社オファーだけ出すと、ただの脅しに聞こえる。
- 金額はそのまま言う、盛らない。月95万は事実なので、相手が裏取りしようがどこからも崩れない。
この一言で、人事担当者の表情が明らかに変わりました。「逃したくない」モードに切り替わったのが伝わってきます。
言葉②「年収換算するとそちらが上回ります」
2つ目の言葉は、提示した他社オファーを「年収」という共通の単位に換算して並べる一言です。
「月95万」のままだと、相手の頭の中で「うちのオファー700万」と直接比較されません。フリーランスは社会保険料や経費の自己負担があり、額面=手取りではないからです。だからこそ、こちらから先に年収換算した数字を口に出して並べる必要があります。
私はこう続けました。
「単純に12ヶ月で年収換算すると、額面で1,140万円になります。御社の初回オファーが700万、ここに400万円以上の差があります。フリーランスなので各種負担を引いても、現状の数字だと比較が難しい状況でして……」
ここで重要なのは、「フリーランスを差し引きしても」という視点を自分から先に入れたことです。何も言わずに1,140万を出すと、相手は「いや、社会保険入ってないでしょ」と心の中で割り引きます。割り引かれた数字で交渉が始まると不利。
逆に「フリーランスだから諸々あるのは承知の上で、それでも差が大きい」と先に言えば、相手は割り引く余地を失います。これは前職の「数字を出す前に、想定される反論を先に潰しておく」という習慣が活きました。
言葉③「800万であれば即決できます」
3つ目の言葉が、決定打です。
言葉①と②で「他社オファーがある」「数字で見ても差が大きい」という前提を作りました。ここまでで人事は「いくらなら受けてくれるのか」を聞きたくなっています。だから、こちらから先に金額を提示します。
「ベース800万円であれば、フリーランス案件はお断りして、即決でサインさせていただきます」
この一言には、3つの仕掛けが入っています。
- 「ベース」と明言する:インセンティブやサインオンボーナスではなく、基本給で上げてほしいと指定する。ベースが上がれば、翌年以降の昇給も退職金も住宅ローン審査も全部効いてきます。
- 「800万」という具体数字を出す:相手にYes/Noの判断を迫る。数字を出さずに「もう少し上げてほしい」と言うと、交渉が長引いて熱が冷めます。
- 「即決」と添える:採用側にとって最大のリスクは「他社に流れること」。即決を約束すれば、人事担当者は社内の上席に「今日サインを取れます」と稟議を上げやすくなります。
結果、後日「ベース800万でいかがでしょうか」と回答が返ってきました。初回オファーの700万から、100万円積み増しに成功。これが、私の外資の年収交渉の全体像です。
やってはいけなかったこと:年収を盛る
3つの言葉と並んで、もう一つ伝えておきたいことがあります。私自身がやらかして、危うく失敗しかけた話です。
1次面接で前職の年収を聞かれたとき、私はとっさに少しだけ盛って答えてしまいました。残業代やボーナスを多めに見積もり、実態より上の数字を口にしたんです。「現職よりは上げてほしい」という心理が働いた結果でした。
ところが最終面接終了後に、人事から「直近3ヶ月の給与明細を提出してください」と連絡が来ました。外資では当たり前の慣行で、提示年収の根拠を確認するためのプロセスです。
明細を見れば、面接で言った金額との差は一目瞭然。詰められたら言い訳できません。私はとっさに「面接のときは急に聞かれて、うろ覚えで答えてしまった、お手数おかけしました」とその場をしのぎました。先方も「ありがちなことなので大丈夫です」と流してくれて事なきを得ましたが、あれは間違いなくリスクの大きい振る舞いでした。
後から振り返ると、盛る必要はまったくなかったんです。前職500万という事実+他社オファー月95万という事実、この2つだけで800万まで引き上げられました。
外資の年収交渉では、嘘は必ずバレる仕組みになっています。給与明細・源泉徴収票・前職在籍証明、いずれかで裏取りされる。盛るくらいなら、別の事実(他社オファー、市場相場、自分のスキルセット)で武装したほうが、はるかに強い交渉ができます。
3つの言葉を「言える状態」を作る準備
ここまで読んで、「他社オファーがあるから言えたんでしょ」と思った方もいると思います。その通りです。3つの言葉は、それを支える事実があって初めて機能します。
では、その事実をどう作るか。私が実際にやっていたのは、シンプルにハイクラス系のエージェント複数社に同時登録することでした。
具体的には、以下の4社を並走させていました。
| エージェント | 使った理由 |
|---|---|
| JAC Recruitment | ハイキャリア向け、書類添削と模擬面接のFB品質が高い |
| パソナキャリア | ミドルレベル・ハイレベル向け。キャリア相談の質が高い。 |
同じ職務経歴書を複数社に見せて、各社が出してくる「想定年収レンジ」を見比べるのがコツです。1社の感覚に依存すると相場感がブレます。複数社のレンジを重ねると、自分の市場価値の中央値がはっきり見える。私の場合、4社全部が「750〜850万」のレンジを提示してきたので、800万を要求する根拠が自分の中で固まりました。
そしてこの並走の中で、フリーランスのオファー(月95万)も一緒に走らせていました。他社オファーは、意識的に作りに行かないと作れません。1社だけ受けて「年収交渉したい」と言っても、根拠ゼロです。最低でも本命+1〜2社で並走させる、これが交渉のスタートラインだと私は思っています。

まとめ:外資の年収交渉は「会話」ではなく「事実の整理」
年収交渉と聞くと、英語が達者な人がロジックでねじ伏せるイメージがあります。でも実際にやってみて分かったのは、必要なのは話術ではなく、事実を整理して数字で並べる作業だということでした。
私が使った3つの言葉を、もう一度並べておきます。
- 「実は別のオファーもいただいていまして」——他社オファーを切り出す
- 「年収換算するとそちらが上回ります」——数字で比較する
- 「800万であれば即決できます」——ベース提示+即決の意思
どれも難しい英語表現でも、駆け引きでもありません。事実をフラットに伝えただけです。前職で数字を整理して報告し続けてきた経験が、ここで意外な形で活きました。交渉が苦手だと感じている人ほど、感情ではなく数字で武装する方向に振ったほうが、たぶん勝率が上がります。
そして3つの言葉を「言える状態」を作るには、複数のエージェントを並走させて他社オファーや相場感を持っておく準備が必須です。本命1社だけで挑むと、交渉の武器が手元に何もない状態になります。これだけは、外資転職を考えている方には絶対に伝えておきたいです。
次のステップ
「自分も動いてみよう」と思ったら
私が転職活動でいちばん印象に残っているのは、パソナキャリアの面談でした。 面談を1回受けるだけで、自分のキャリアの解像度が一段上がる感覚があります。 「次の一歩を真剣に考えたい」方は、ここから始めるのが近道です。
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