「外資系やめとけ」と言われた私が、それでも転職して年収300万上がった理由

「外資系はやめとけ」

転職活動中、私はこのセリフを何回聞いたかわかりません。会社の上司、両親、それなりに付き合いの長い知人——みんな口を揃えて止めてきました。

それでも私は、27歳のときに日系金融大手から外資メーカーに転職しました。年収は500万から800万になり、月の手取りは52万円になりました。

実際に外資で働いてみて、私はこう思っています。「やめとけと言われる話の、半分は本当で、半分は誤解だった」と。

この記事は、「やめとけ」の理由を一つずつ解剖して、それが自分に当てはまるかを判断するための材料です。「全員に外資をおすすめする」記事ではありません。私の体験から見えた、外資の中身を正直に書きます。

目次

なぜ「外資系やめとけ」と言われるのか——よく聞いた6つの理由

転職活動を始めた当初、まわりから言われた「やめとけ」の理由は、だいたい次の6つに集約されました。

  1. クビになるリスクがある
  2. 英語ができないとついていけない
  3. 成果至上主義でしんどい
  4. 政治・社内牽制が激しい
  5. 本国の業績に振り回される
  6. アピール合戦が常にある

順に書いていきます。

①クビになるリスクがある

日本の労働法では正社員を簡単には解雇できませんが、外資の場合は「組織再編」という名目でポジション自体をなくすことができます。「成果が出ないとクビ」「組織再編で席がなくなる」と聞くと、ほとんどの人が腰が引けるはずです。私の親もこれを一番心配していました。

②英語ができないとついていけない

外資=英語、英語ができないと話にならない、というイメージは根強いです。「会議も全部英語、メールも英語、上司との雑談も英語」とイメージしている人が多いと思います。私もそうでした。

③成果至上主義でしんどい

日系のように「頑張ってるね」では評価されない。数字を出した人だけが残り、出せない人は淘汰される。プレッシャーで疲弊する、というイメージです。

④政治・社内牽制が激しい

「外資はドライ」のイメージとは逆に、社内政治が激しいと言われます。ポジションの椅子取りゲーム、上司への根回し、ライバルへの牽制——日系より露骨にやっているという話を、複数人から聞きました。

⑤本国の業績に振り回される

外資メーカーのボーナスは「日本法人のパフォーマンス」だけでは決まりません。本国の業績、グローバル全体の業績が悪いと、日本がいくら頑張ってもボーナスは渋くなります。これも「やめとけ」と言われる理由として、後から納得しました。

⑥アピール合戦が常にある

これは入ってから一番違和感があった点です。新卒で日系に入ったとき、私は先輩から「上司には常にYESと答えろ」と教育されました。日系の文化では、自分の成果を声高に主張するのは下品とされます。

ところが外資では、自分の功績を上司にアピールしないと「成果を出していない人」になります。アピールしないと評価されない、評価されないと昇進できない、昇進できないとクビ候補になる——という構造です。

実際に外資メーカーで働いた私が感じた「やめとけ」の真実

ここからが本題です。1年働いてみて、上の6つの「やめとけ」が実際にどうだったかを書きます。

①解雇リスク→確かにある。でも和解金が手厚い

最初に書きます。クビになるリスクは、確かにあります。私は入社半年で組織再編を経験しました。「2席を1席にする」という再編で、優秀な方の人間だけがポジションを確保し、もう一方は空いている席に応募する形でした。

VP面談までは噂レベルの情報しか流れてこないので、誰が残るかわからない期間が数ヶ月続きました。私はこの期間で軽く鬱になりました。深夜に目が覚めて転職サイトを開いたり、何もしていないのに通勤電車で動悸がしたり。結果として私はポジションを確保できましたが、「外資はキツい」と言われる理由を体感した瞬間でした。

ただ、誤解を解いておきたいのは、外資の解雇は「ある日突然、明日から来なくていい」というドラマみたいな話ではないということです。

実際の解雇は和解金とセットです。社内でよく聞く相場は「勤続年数×1ヶ月分の給与+3ヶ月分」で、たとえば年収1200万で30年勤続なら3300万円程度になります。これだけもらえるなら、むしろ自分から「切ってください」と希望する人もいるという話を、何度か聞きました。

加えて、入社2年未満は組織再編で切られにくいという暗黙の了解もあるそうです(これはあくまで噂レベルですが、人事から「2年は守られる」と聞いたという話を複数の同僚がしていました)。

②英語→TOEIC 800で1次面接は通った

私のTOEICは800です。バリバリのバイリンガルではありません。会議で英語ネイティブが超絶スピードで議論を始めたら、半分くらいしかキャッチアップできません。

それでも、外資メーカーの選考は通りました。

1次面接は人事との英語面接でした。質問内容は「なぜ転職したいのか」「前職での待遇」など、日系でも聞かれる当たり障りのない内容です。英語が「全くしゃべれない」レベルでなければ、ここで弾かれることは少ないと感じました。

2次面接は直属上司とのジョブ面接でしたが、私の場合は2日前に渡されたデータを集計・分析してパフォーマンス報告と打ち手提案を行う、というものでした。スタバで資料を作り、当日プレゼンしました。

中身は、前職でずっとやっていたカテゴリ別集計、前年比、市場全体の伸長と自社の強みでの分類、ROIが低い投資領域の特定、高ROI領域への積極投資の提案。前職でやっていた仕事と、完全に同じでした。

「外資の面接は難しい」というのは、思い込みです。言語が英語に変わっただけで、求められているのは「数字を集計して、要因を確認して、打ち手を考える」という、日系でやっていたことそのものでした。

③成果至上主義→成果を出せば本当に自由

これは「やめとけ」というより、「むしろ良い」と感じる部分です。

外資は成果が出ていれば、本当に自由です。たとえば私の上司は12時に出社して深夜まで働きます。同僚にはビーチから働く人もいます。「14時に歯医者行くから、今日はもう閉店」と言って退社する人もいます。金曜の15時にはハッピーアワーが始まり、社内で安酒を飲みます。

私が一番ビックリしたのは、有給を取った日にうっかり会議に出てしまったときの上司の反応でした。

「お前は今日有給取ってるんだから、会議から出ていけ」

弁明しても聞いてくれず、私が会議室を出るまで会議が進まないという状況になりました。日系時代は「有給だけど大事な会議だから一応出ます」が美徳だったので、文化のあまりの違いに頭が真っ白になりました。

12月のクリスマス前から偉い人レベルから順に休みに入って、1月は日本の正月休みもあって、年末年始は社会復帰不能になるレベルで休めます。成果さえ出していれば、本当に自由です。

④政治→ある。でも怖がる必要はない

社内政治は、確かにあります。

たとえばファイナンス部から数字をもらうとき、ファイナンス内のVP承認まで終わってから上司に報告する。自分が知らない数字を上司に報告させない、というメンツ文化があります。最初は「めんどくさ」と思いましたが、慣れると合理的だと感じます。

ただ、政治はあるものの、極端な犬猿の仲にはなりにくい構造もあります。理由は2つあって、1つは外資メーカーは海外ポジションも狙えるので、目の前のライバルとずっと顔を合わせ続ける必要がないこと。もう1つは、グローバルでキャリアが動くため、人間関係を壊すコストが高いことです。

そして実は、政治は使い方次第です。偉い人は、さらに偉い人へのアピールを常にしています。なので「全員にとって利があること」は、政治を使って一気に動かせます。私はこれに気づいてから、社内調整がだいぶ楽になりました。

⑤本国の業績に振り回される→確かに振り回される

これは事実そのままです。日本のパフォーマンスがどれだけ良くても、本国がコケていればボーナスは渋くなります。

逆もしかりで、私が入社した年は日本のマーケットは不調だったのですが、本国のパフォーマンスが非常に良かったため、ボーナスが想定より多めに出ました。日系では基本的に起こらない現象です。

「自分のコントロール外で給料が変わる」のが嫌な人には、外資は向いていません。逆に、振れ幅を許容できる人にはそこまで気にする話でもないと思います。長期的に見れば、プラスとマイナスが均されていくはずなので。

⑥アピール合戦→確かにすごい。でも仕方ない側面もある

これは、外資に入って一番カルチャーショックを受けた部分です。

具体例を書きます。私が入って間もない頃、社内で尊敬していた上司がいました。仕事ができて、判断が速くて、見ていて学ぶことばかりの人でした。

その上司が、組織再編に向けた評価面談の前後で、自分の功績を「これも私がやりました」「これも私の貢献です」と上の人にアピールしている姿を見たとき、正直に言うと、ちょっと引きました。

ただ、しばらくして考え直しました。アピールしないと、上司や評価者は私たちの仕事の中身を知りません。アピールしないと評価されないし、評価されないと昇進できない。成果主義の中で生き残るためには、自分から声を上げるしかない、という構造的な必然なんです。

日系の「謙虚であれ」という美徳は、長期雇用が前提だから成立する文化です。外資のように人の入れ替わりが激しい環境では、アピールしないと存在ごと忘れられます。これに気づいてから、私もアピールするようになりました。最初は気が引けましたが、慣れます。

それでも私が外資転職してよかった3つの理由

ここまで読んで、「やっぱり外資はキツそう」と感じた方もいるかもしれません。それでも私は、転職して心からよかったと思っています。理由を3つ書きます。

①年収500→800万、ライフスタイルが変わった

一番わかりやすい理由は、年収です。日系金融時代の年収500万から、外資メーカーで年収800万になりました。月の手取りは52万円です。

具体的に何が変わったかというと、家賃9万円のアパートから14万円のマンションに引っ越し、ジムに通い始め、回転寿司で皿の色を気にせず食べられるようになり、彼女との同棲をスタートできました。タクシーには相変わらず乗りませんし、外食はチェーン店ばかりですが、それでも生活に余裕があります。

「年収300万アップしても、税金で持っていかれて手取りはたいして変わらない」と書いている記事もありますが、私の感覚としては、明確に余裕が生まれました。

(関連記事:外資系企業の年収はなぜ高い?27歳で800万になった私の給与明細を公開)

②仕事内容は日系時代とほぼ同じ、環境だけ激変

これは外資転職を考えている人に、一番伝えたい点です。

私が今やっている仕事は、価格戦略の最適化(具体的な部署名は伏せます)です。値段を10円上げたら売上個数は何%減るか、サイズ展開は最適か、トップラインと利益のバランスはどうか——をファイナンスや営業を巻き込みながら詰めていきます。

これ、日系金融時代にやっていたKPI管理と本質的には全く同じです。数字を集計して、要因を分析して、他部署を巻き込みながら打ち手を提案する。やっていることは、変わりません。

変わったのは、環境です。

  • ハーマンミラーの椅子(20万円)
  • 支給PC(40万円相当)、最新iPhone
  • ドリンク無料、社食が美味くて安い
  • 会議室は世界の都市名(NewYorkなど)
  • 忘年会はホテルの披露宴会場貸切
  • バックオフィスでも叙々苑が経費

日系時代は、夏場のエアコンが効きすぎて凍えていた古いオフィスで、ボロい事務椅子に座って同じ仕事をしていました。仕事内容は同じなのに、環境がここまで違うんです。

③窓際族がいない、不公平感がない

これは私の中で、意外と大きい点でした。

日系時代、自分より明らかに仕事をしていない、それでいて自分より給料をもらっている、いわゆる窓際族の人が複数いました。月曜の朝刊を午前中いっぱい読んで、午後は雑談で席を立つだけ、みたいな人です。

「あの人より自分の方が動いているのに、なんで給料が逆なんだろう」と思うたびに、地味にモチベーションが削られていました。

外資には、これがありません。窓際にいる人は、組織再編で席がなくなります。だから、自分の周りにいる人はみんな普通に働いているし、評価が高い人はちゃんと高い。給料の納得感がある、という言い方が一番近いと思います。

「クビがある」と聞くと怖い印象ですが、裏を返せば「ちゃんと働いている人だけが残る」仕組みです。私はこの方が、健康に働けると感じました。

「外資系やめとけ」が当てはまる人・当てはまらない人

ここまで書いてきて、外資が「全員におすすめ」とは思いません。タイプによって、向き不向きが明確に分かれます。

当てはまる人(日系に残った方がいいタイプ)

  • 安定が最優先で、収入の振れ幅が嫌な人
  • 言われた仕事をきっちりやることに価値を感じる人
  • 数字より雰囲気・人間関係で動きたい人
  • 自分から声を上げるより、評価する側に見つけてもらいたい人
  • 長期勤続で退職金をもらうキャリア観が好きな人

これは否定する話ではなくて、向いている環境が違うだけです。日系大手で長く働く人生は、外資より安定していて、家族を持つにも適しています。

(関連記事:外資系に向いてる人・向いてない人の特徴——実際に外資で働いて見えた違い)

当てはまらない人(外資を検討すべきタイプ)

  • 数字で語れる、ロジックで説明できる
  • 自分から動ける、上司の指示を待たずに仕事を作れる
  • 成果を上げたら、正当に評価されたい
  • 年収を上げたい
  • 同じ仕事内容なら、より良い環境で働きたい

私は完全に後者でした。日系時代に「頑張りでは越えられない壁」を感じていたので、数字で評価される世界の方が居心地が良い気がしていました。実際、入ってみてその直感は当たっていました。

「やめとけ」を聞いて止まる前にやるべき2つのこと

最後に、これから外資転職を検討する人に、止まる前にやってほしいことを2つだけ書きます。

①外資特化のエージェントに登録して話を聞く

外資特化のエージェントは、外資の中身を一番知っている人たちです。求人を出す側の事情も、入った人がどうなったかも、生のデータを持っています。

私は転職活動中、複数のエージェントに登録しました。担当ガチャの存在に気づいたので、各社で複数回フィードバックをもらいながら職務経歴書を磨きました(この話は別記事にまとめます)。

エージェントの登録は無料です。話を聞くのも無料です。「やめとけ」と言ってくる外野の人より、外資の現場を毎日見ているエージェントの話の方が、判断材料として圧倒的に質が高いです。

(関連記事:外資転職におすすめの転職サイト・転職エージェント——27歳で500万→800万になった私の使い方)

②書類だけ出してみる

そして、迷っているなら書類だけ出してみる、というのが一番効くと思います。

私は応募5社で書類が全通し、最終内定が2社でした(外資メーカー800万、フリーランス月95万)。応募してみないと、自分が外資で書類を通せるレベルなのかどうかすらわかりません。書類が通らないなら、それはそれで一つの答えです。

「やめとけ」と言われて止まる前に、市場の反応を見てから判断しても、遅くないです。書類応募は無料で、しかも在職中にできます。

まとめ:他人の意見ではなく、自分のタイプで判断する

「外資系やめとけ」を全否定するつもりはありません。クビのリスク、本国の業績依存、アピール合戦——どれも実在します。

ただ、これを言ってくる人の多くは、外資で働いた経験がないんです。実際に1年働いた経験者として書くと、「やめとけ」の半分は本当で、半分は誤解です。

重要なのは、他人の意見ではなく、自分のタイプで判断すること。私の場合、判断材料を集めた結果「やる」を選んで、年収500万→800万、ライフスタイル激変、月の手取り52万、という今の状態に到達しました。

迷っている人がいたら、止まる前に判断材料を集めてください。

この記事を書いた人

元・集計担当

元・集計担当

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運営者プロフィール
データ抽出 Excel分析 KPI管理 Tableau Power BI

大手メーカーの管理部門でデータ抽出・KPI管理・レポーティングを4年半担当。Tableau導入プロジェクトをリードし、社内100名超に展開。「集計するだけの仕事」に限界を感じ、27歳で外資メーカーへ転職。年収800万円を実現。このサイトでは、同じ境遇の方に向けてリアルな転職戦略をお伝えします。

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