「データ分析の経験を活かして転職したい」——そう思ってITエージェントに相談したとき、私は大きな勘違いをしていました。
紹介された求人には、PythonやJava、機械学習、ビッグデータ基盤の構築……といった言葉が並んでいました。私がやってきたExcelでの集計やTableauでの可視化とは、まったく別の世界の話です。
この記事では、ExcelやTableauを使ってデータの集計・可視化をしてきた方、KPI管理やレポーティングを担当してきた方の経験が本当に評価される職種・業界はどこなのかを、私自身の転職活動をもとにお伝えします。
ITエージェントに行ったら、別世界の求人を紹介された
転職活動を始めてまず相談したのは、ITに強いエージェントでした。「データが得意」「Tableauの資格もある」——そう伝えたところ、紹介されたのはこんな求人でした。
「ビッグデータ分析基盤の企画・構築・運用」「機械学習を用いた新規プロダクトの開発」「高度な統計学や解析技術を駆使した案件の推進」——必須スキル:何かしらのエンジニアスキルをお持ちの方
正直、笑いそうになりました。必須スキルが「何かしらのエンジニアスキル」——つまり、エンジニアであればなんでもいい、という求人です。私がやってきた4年半のKPI管理もレポーティングも、この求人には一切関係ない。エンジニアの入口に立てるかどうか、それだけを見ていたのです。
ITエージェントが扱う「データ職」は、エンジニアリングのスキルが前提です。Pythonが書けて、SQLでデータベースを操作できて、機械学習のモデルを構築できる——そういう人材を求めています。私がやってきたことは、彼らの目には「データ職」として映っていなかったのです。
そもそも考えてみると、IT企業はデータリテラシーがもともと高い。社内のエンジニアがデータを扱える環境が整っている会社で、集計担当の経験は武器になりません。狙うべきは、別のところにありました。
外資メーカーが求めていたのは「ビジネスでデータを使える人」だった
ITエージェントへの相談を諦めて、複数の総合系・ハイクラス系エージェントに切り替えました。
結果として複数社から内定をいただきましたが、特に評価が高かったのは外資メーカーと大手金融でした。どちらもビジネスサイドにデータを活用する人材を求めていた会社です。
外資メーカーが求めていたのは、コードが書ける人ではなく、データをビジネスの文脈で使える人間だった。
考えてみれば当たり前の話で、価格を決めるのも営業戦略を立てるのも、最終的に判断を下すのはビジネスサイドの人間です。コードが書けるかどうかは、その判断にはまったく関係なかったのです。
実際に内定をもらった会社から見えた「評価される職場」の共通点
転職活動を通じて複数社の面接を受け、いくつか内定をいただきました。その経験から、私なりに、集計担当の経験が評価されやすい職場の共通点を探しました。
① 外資メーカー等の事業会社のデータ職(最もおすすめ)
プライシング、セールスアナリティクス、Revenue Growth Management(RGM)など、ビジネスの数字を扱うポジションが豊富です。「データを読んでビジネス判断につなげる力」が求められるので、集計・レポーティング経験がそのまま活きます。
新卒採用がない外資メーカーでは人を育てる文化も薄いです。即戦力として「一次データにアクセスして、泥臭い作業ができる人間」を求めています。日系大企業で4〜5年、地味にデータと向き合ってきた経験は、彼らにとって喉から手が出るほど欲しいスキルセットなのです。
求人を探すときのキーワード:Commercial Analyst Business Intelligence RGM
② データのブリッジ役を求めている会社
ある金融系の会社では、データ業務を海外チームに委託しており、その窓口を担うポジションとして内定をいただきました。実際にデータを使うビジネス側と、処理を担う海外チームの間に立つ役割です。データの知識とビジネス観点の両方が必要で、集計担当の経験がまさに求められていました。
このポジションの本質は、ビジネスを動かす人たちのサポート役です。営業や企画など、実際にビジネスを行っている人たちは、データの細かい処理に時間を使いたくない。「必要な数字を、必要なときに、わかりやすく出してくれる人」が隣にいれば、彼らはビジネスに集中できる。その役割を担えるのが、集計担当の経験者です。
グローバルに展開している企業では、こういったブリッジ役のポジションが意外と多く存在します。
求人を探すときのキーワード:オフショア グローバルオペレーション データコーディネーター
補足: 求人票に「ブリッジ役」とは書いてありません。「海外チームとの連携」「グローバルチームとのコミュニケーション」という記載があるポジションが該当することが多いです。
③ 多角化経営・データが散らばっている会社
複数の事業を展開している会社では、社内のデータが部門ごとにバラバラになっていることが多い。集計するだけでも大変な状況で、そもそもデータをまとめられる人間がいない——そういう会社では、集計担当の経験が即戦力として評価されます。
逆説的ですが、データが整っている会社ほど、集計担当の価値は下がります。 すでに仕組みができていて、誰でも数字を引き出せる環境では、わざわざ集計のプロを必要としない。
価値が最大化されるのは、データがまだ混沌としている会社です。散らばったデータを整理して、経営層が判断できる形にまとめられる人間——それは、属人的な泥臭い作業を何年もやってきた人にしかできない仕事です。「高度な分析ができる人」より「データをちゃんと整理して報告できる人」を切実に求めている会社が、確実に存在します。
求人を探すときのキーワード:DX推進 データ活用 経営企画
狙ってはいけない会社——IT企業は避ける
逆に、避けたほうがいい会社もはっきりしています。IT企業です。
IT企業はもともとデータリテラシーが高い。エンジニアが自分でデータを扱える環境が整っていて、集計担当のような役割は社内で完結しています。私のような「ツールを使ってデータをまとめて報告する」スキルセットは、彼らの目には物足りなく映ります。
狙うべきは、データリテラシーがまだ高くない業界——メーカー、金融、小売等の事業会社です。そういった会社では、データをビジネスに活かせる人材がまだまだ不足しています。
集計担当の経験は、IT系の目には「データ職」として映りません。でも外資メーカーや、データが整っていない事業会社では、あなたの経験がそのまま武器になります。どんな会社を狙えばいいかわかったら、次はエージェントの使い方です。
